長い長い1日(中編)
今日も良いお天気でしたね。
お出かけ時に上着を間違えるミス。
結局ジャケットが荷物となりワークシャツでの行動となりましたw
では後半行ってみよ〜。
…。
俺の在籍している部門名が呼ばれて、緊張が走る。
大丈夫。
流れ的にはさっきの段取りな筈。
初めに方針説明があって、その後に1人1人紹介を受けて、マイクの前に立つ感じやったし、
俺が初めに来る事はないやろ。
その間に他に紹介される人達のスピーチを聞いて、パクって当たり障りない挨拶で済ませよう。
ハードルを思いっきり上げられてるけど、そんな事知らん。
承諾なんかしてないし、無様やろうがこの状態をどう乗り切るかが重要や。
などと色々考えながら、壇上に上がり先輩方の後ろの方に向かう。
その時、マイクを持つ本部長と目が合った。
『よしぼ君(本来は俺の苗字)は前に。』
え〜‼️
ちょっ…
えぇ〜‼️‼️
そんな…。
さっきは後半から1人1人の紹介やったはずやのに。
これはヤバい。
あかんって。
マジで。
またもやパニック襲来。
本部長は入社以来何かと気に掛けてもらっていて、俺にとっては本当に好きな上司だ。
また笑顔が素敵。
今も凄い笑顔で俺の方を観てくれている。
この笑顔、ズルいwww
何も言えないまま、苦笑いで壇上の前の方に向かう。
呼ばれたのは俺以外に3人。
そして、俺はマイクから一番離れた端に位置どり。
これは俺の咄嗟の判断。
我ながらナイスポジショニング‼️と心の中で吠えた。
何故ならまだ猶予がある。
俺のプランで行くと
全体の挨拶は本部長だ。
そして挨拶に移っても、自分から近い人からマイクを渡す筈。
トリを務めるのも本当は不本意だが、初っ端よりはマシだ。
初っ端の挨拶でスベったら後の人にも影響が及ぶ。
どうせスベるならトリの方がリスクは少ない。
そして何よりも時間を稼げる。
更にその後はまた本部長にマイクを戻すから仮に空気が凍りついても百戦錬磨の本部長なら何とかしてくれるだろう。
そんな事を考えつつ、少しの余裕が生まれた俺は
チラッと後ろに視線をやる。
あっ、ニヤニヤしてる。
何か悪い笑顔でこっち観て、ヒソヒソ話してるやないか。
この状況の俺を観てもまだ笑ってるなんて、獄卒衆ですか?
正気の沙汰やない。(いや、イジってもらえるのは嬉しいんだが。)
何を言ってるのか聞き取れなかったし、そうこうしているうちに始まりそうな雰囲気なので、視線を前に戻す。
…広っ‼️
つうか目の前、社長のテーブルやったんかいな‼️
少し歯車が狂った気がした。
前門の虎、後門の狼
ってこういう事なのかな?
そして本部長からの挨拶が始まった。
緊張感がマックスへと向かうのを感じながら、誰かを観る訳でも無く、前方奥のシャンデリア辺りを観る。
耳だけに集中して、出番までに心を整えようとしていると…
『ではこの度、新戦力として仲間になった方々の紹介をします。』
『先ずはよしぼ君。彼は昨年の〜…。』
…え。(・∀・)
…何て?
俺の名前呼ばれた?
聞き違いのは…ず…。
と本部長の方を観るとガッツリ視線が合った。
うん、策士‼️(・∀・)
この時点で俺の頭の中は真っ白になり
計算のために稼働していた歯車達は脆くも崩れ去った。
お釈迦様の掌の上ではしゃいでいた斉天大聖の如く、本部長の大きさを計り知れないでいた。
マイクが手渡してこちらにやってくる。
…どこで間違えたんだろう。
何も用意してねぇよ。
余裕かましてる場合じゃなかった。
(↑こんな状態)
つい先程、希望的観測は外れると感じてたばかりやのに。
開き直るしかない‼️
そう思い、マイクを持つ。
『皆様、お疲れ様です‼️只今、御紹介に与りました。〇〇ソリューション営業部◻︎◻︎課のよしぼ(本来は苗(ry…)でしゅ。』
…やってもたぁ‼️
噛んだ時は礼の動作だったが、自分の足元の景色と噛んでしまったという事実しか覚えていない。
その後は何を話したんだろうか。
意識は宇宙に向かっていた。
手が震える。
とりあえず、挨拶の着地点だけは外さないように努めたが、でしゅ‼️って…。
たかが1分程度が1時間くらいに長く感じた。
そしてお隣の女性に震えながらマイクを渡す。
ふぅ。
もう終わった事は仕方ない。
多分大丈夫だろう。
…多分。
何やら後ろからの視線を感じる。
あっ、これ絶対にイジられる。
そんなこんなで何とか乗り切り、後は部門内容(俺は今日初めて聞くw)を頭に入れながら壇上から降りるのを待つ。
全員で頭を下げて壇上から降りる時だった。
一番端で前に居た俺は、先輩方が降りるのを見送ってから降りる事にしたのだが、俺の前を通り過ぎる度に
『お疲れでしゅ(笑)』
とか
『真面目か‼️(笑)』
とか
挙げ句の果てには
『おもんないわ〜(ニヤニヤ)』
と言われる始末。
…え、ここで⁉️
イジるの早ない⁉️
と思いつつ
こんな感じでその場を切り抜けるw
そして次の部門発表に移る。
少しだけ落ち着いたのでまたカメラを借りに向かうのだが、色んなテーブルの方々から、
『良かったよ〜。声出てたし。でもでしゅって噛んだ所はスベってたけど(笑)』
とか
『ガチガチやったね〜(笑)』
などと洗礼を浴びた。
もう辞めて‼️噛んだ本人が一番解ってるからw
調子こき気味やったのも反省しますからぁ〜(白目)
何度も言うが
過ぎた事は仕方ない。
後はひっそりとカメラマンとしての任務を遂行するだけだ。
もう恐れるものは何も無い‼️
そう自分を励まして、一心不乱にシャッターをきる。
全ての部門発表を終えて、やっと乾杯の時間に。
…長い。
……とても長かった。
テーブルには寿司‼️肉‼️
そして会場の隅にはビュッフェスタイルの様々な料理が並んでいる。
しかし、俺はカメラマンやし、もっと言えば新人。
ビールを注ぎに回らないと。
こりゃ食事をする時間は無いな。
寧ろ、緊張で食べる気も起きないのだが。
…煙草吸いたい。
歓談の時間は常にカメラを持って動き回っていた。
時折、色んな人からイジリという名のご指導を頂戴する。
でも、まぁ有難い事だ。
何を言ったか覚えてないが、イジってもらえるのは嬉しい事だし、結果オーライ的な感じやったんかなと思いつつ、この時間を過ごす。
しかし、この後に更なる悲劇が待ってるとは
その時の俺は予想だにしていなかった。
(続く)
BGM:やっちゃった by 般若